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プレスリリース

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2012.10.09

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ストラトスフィアがネットワーク仮想化プラットフォームの商用製品を発表、ACCESSとIIJが「Stratosphere SDN Platform 1.0」として販売を開始

株式会社ACCESS(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:室伏 伸哉、以下ACCESS)と株式会社インターネットイニシアティブ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鈴木 幸一、以下IIJ)の合弁会社でSDN※1をベースとした基盤ソフトウェアの研究開発を行う株式会社ストラトスフィア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:浅羽 登志也、以下ストラトスフィア)は、ネットワーク仮想化プラットフォーム製品の商用版第一弾として「Stratosphere SDN Platform 1.0」(以下SSP 1.0)を2012年10月31日より提供開始いたします。本製品は、データセンター事業者やクラウド事業者、サービスプロバイダ等を主要ターゲットに、ACCESSおよびIIJの販売チャネルを通じて、同日より販売を開始いたします。既に複数のお客様が評価版の検証をしており、大手データセンター事業者が商用版の採用を決定しております。

SSP 1.0は、広域に分散した仮想マシン群を接続するネットワークを仮想的に構築、制御するソフトウェアです。SSP 1.0では、エッジ・オーバーレイ方式(トンネリング方式)※2を採用し、既存のネットワーク環境をそのまま利用しながら、物理ネットワークから独立して運用、制御することが可能な仮想ネットワークを構築します。お客様は、SSP 1.0を導入することにより、物理ネットワークの制約から解放され、場所に依存することなく、分散したデータセンター間でも必要な台数の仮想マシンの増設や移行を、任意のネットワークトポロジーのもとで、容易に、かつ短時間で行えるようになり、より柔軟なクラウド環境の構築が可能となります。また、ネットワーク運用の自動化により、運用の負荷とコストを大幅に削減できます。

SSP 1.0の主な特長は、以下のとおりです。

  1. オープンなプラットフォーム
    市場で広く利用されているハイパーバイザー(Linux/KVM、VMware/ESXi)、オーケストレータ(CloudStack)、各種ネットワークプロトコル等を幅広く統合可能です。
  2. 既存技術と新技術のハイブリッドソリューション
    ネットワーク仮想化のための主要な機能をモジュール化し、お客様のニーズに応じた多様な組み合わせでSDN環境の導入が可能です。また、VLANで運用されている既存L2ネットワークの円滑な移行が可能です。
  3. APIによるSDN機能の提供
    SDN環境の管理・制御の機能を、エンドユーザ、サービスプロバイダ、インフラ提供者のそれぞれのニーズに合わせた形で統合しAPIとして提供します。 

今後は、SSP 1.0の制御機能を司るSDNエンジンを拡張する事により、エッジ・オーバーレイ方式だけでなく、ホップ・バイ・ホップ方式に対応する機能拡張や、MPLS(Multi-Protocol Label Switching)やPBB(Provider Backbone Bridge)等のバックボーンプロトコルとの相互接続、そして、SDNを使ったWANサービスを実現するSDN-BGP※3など、次世代のコア・ネットワーク技術に順次対応していきます。

<開発の背景>
SSP 1.0を開発した背景には、サーバやストレージの仮想化が進むクラウド環境において、仮想化された計算リソース(CPU、メモリ、ストレージ等)をシステムとして組み上げるためのネットワークが、仮想化に十分対応できていないため、クラウド環境を活用した柔軟なシステム構築が難しい現状があります。特にマルチテナント※4 のクラウド環境や、複数の仮想マシンとデータセンターが広域に分散するようなケースでは、ネットワークの複雑な構成管理や物理的な制約がボトルネックとなっています。

ストラトスフィアは、このような課題を解決し、SDNとその要素技術であるOpenFlow※5に基づくプラットフォームの研究開発を通じて、次世代クラウド環境を実現することを目的として設立されました。※6

SSP 1.0で提供される機能

機能 特長
SDNエンジン
  • 仮想ネットワーク環境の実現と統合管理
  • テナントネットワークの構成管理
  • 仮想ネットワーク環境を制御するためのAPI提供
仮想スイッチ
  • OpenFlow1.0をサポート
  • 仮想マシンとトンネリングモジュールの紐付け
L2/L3オーバレイ
  • VXLANにより約1,600万のレイヤー2 ドメインを識別
  • STTによりNIC(ネットワークカード)で、トンネリング処理を高速化
ブロードキャストの軽減
  • ARP要求をSDNエンジンで制御

SSP 1.0動作環境

環境 SSP1.0 今後対応予定
ハードウェア x86サーバ
OS CentOS
オーケストレータ CloudStack OpenStack等
ハイパーバイザー KVM、ESXi Xen Server等
  1. SDN(Software Defined Network): ネットワーク構成を動的に設定するために、ネットワーク全体をソフトウェアで制御(定義)する、という次世代ネットワーク技術のコンセプト。
  2. エッジ・オーバーレイ方式: トンネル技術により、ネットワークのエッジにある仮想スイッチ同士で制御を行い、仮想スイッチ間の経路は従来のネットワークを利用する方式。既存の物理ネットワークを利用するため、設備投資を最小限に抑えることができる。
  3. SDN-BGP: OpenFlowで管理されているネットワークを、BGP(Border Gateway Protocol)を用いて既存のISPネットワークと相互接続するための方式。
  4. マルチテナント: クラウド環境等で、サーバやデータベースなどのリソースを複数のユーザ企業で共有しながら、セキュアな専有の仮想コンピューティング環境を提供する事業モデル。
  5. OpenFlow: ネットワークの仮想化を実現する次世代ネットワーク制御技術。OpenFlow Switch Consortiumが提唱し、Open Networking Foundationにより標準化が進められている。
  6. 2012年4月5日の発表資料(http://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2012/0405.html)をご参照ください。

シトリックス・システムズからのエンドースメント
Citrixは、株式会社ストラトスフィア様の「ストラトスフィアSDNプラットフォーム(SSP)」販売開始の発表を歓迎いたします。SSPのようなオープンなSDN環境は、Citrix CloudPlatformやApache CloudStackなどのクラウドオーケストレーターの提供する拡張性や柔軟性、信頼性を飛躍的に増大すると確信しています。SSPによって、複雑かつ大規模なネットワーク構成を持つ企業の情報システムをクラウドインフラ上に多数収容し、テナントシステム間でネットワークリソースを最適に配分しながら、安定的かつ継続的にサービスを提供することが可能になります。SSPの提供により、クラウドサービス事業者や大規模なシステムを運営するEC事業者または企業の情報システム部門が、最先端のネットワーク仮想化技術を素早く、かつ手軽に導入でき、日本におけるIaaSの導入をさらに加速することを期待いたします。

Citrix Systems Inc. クラウド プラットフォーム グループ 最高技術責任者 シェン リャン

SSP1.0構成イメージ

■株式会社ACCESSについて
ACCESS(東証マザーズ:4813)は、世界中の通信、家電、放送、出版、エネルギーインフラ業界向けに、モバイルおよびネットワークソフトウェア技術を駆使した先進のITソリューションを提供するグローバル企業です。全世界で累計10億台の搭載実績を誇る組み込み向けソフトウェア「NetFront®」シリーズやネットワークソリューション「ZebOS®」など、柔軟かつ拡張性が高いテクノロジにより、事業者の製品・サービス開発やインフラ構築を速やかに実現します。現在、クラウド技術をベースにした電子出版プラットフォーム「ACCESS Digital Publishing Ecosystem」およびモバイル広告配信ソリューション「NetAd」など、スマートフォンをはじめとするマルチデバイス上で高付加価値サービスを実現するソリューションの開発・提供を加速しています。アメリカ、アジア、ヨーロッパ地域の子会社を拠点に国際展開を推進しています。ACCESSに関する詳細はhttps://www.access-company.com/をご覧ください。

■IIJについて
株式会社インターネットイニシアティブ(東証第一部、3774)は、1992 年、日本で初めて商用でインターネット接続サービスを提供する会社として設立されました。現在では、約6,500社の法人顧客に対して、インターネット接続、クラウドなどのアウトソーシングサービス、WANサービス、システムインテグレーション、運用管理などの各種ネットワークサービスをトータル・ネットワーク・ソリューションとして提供しています。IIJに関する詳細はhttp://www.iij.ad.jp/ をご覧下さい。

■ストラトスフィアについて
株式会社ストラトスフィアは、SDN(Software Defined Network)技術をベースとして、次世代クラウド環境実現のためのプラットフォームを構築するソフトウェアスタックの研究開発を行う目的で2012年4月に設立されました。ストラトスフィア(= Stratosphere)は成層圏を意味し、雲(クラウド)よりも上層にあることから、クラウドを超えた上を目指していく意志を表しています。また、成層圏は、気象が不安定な対流圏を覆っている安定した層であることから、クラウド全体を包括して安定、発展させるための技術を提供する使命を表現しています。ストラトスフィアに関する詳細はhttp://www.stratosphere.co.jp/をご覧ください。

  • ACCESS、ACCESSロゴ、NetFrontは、日本国、米国、及びその他の国における株式会社ACCESSの登録商標または商標です。
  • ZebOSは、IP Infusion Inc.の米国ならびにその他の国における商標または登録商標です。